バイク用バッテリーの型式と選び方

1. バッテリータイプについて

1) VRLA (制御弁式)と開放式の違い

オートバイ用バッテリーにはVRLA (制御弁式)と開放式の二種類のタイプが存在します。現在は車両多様化によるメンテナンスフリー性、コンパクト性のニーズが高まり、VRLA (制御弁式)タイプが主流となっています。

VRLA (制御弁式)バッテリーの特徴

  • 使用中に内部から発生するガスを特殊構造により吸収し、寿命まで液面点検や補水の必要がありません。
  • 過充電による大量のガス発生時には、安全弁からガスを逃します。
  • VRLA (制御弁式)は全て12Vのラインアップとなっています。(6Vはありません。)

※注意点
VRLA (制御弁式)は、充電方法が通常のバッテリーに比べ非常にデリケートです。充電方法を間違えると、ケースが膨らんだり、極度に寿命が短くなるケースがありますのでご注意ください。また、絶対に蓋をこじ開けないでください。また、過充電により大量のガスが発生しバッテリー内部の圧力が異常に上昇すると、安全弁からガスが放出されます。その時に火気を近付けたり静電気を発生させると爆発に繋がる恐れがありますので、ご注意ください。

開放式バッテリーの特徴

  • 排気口があり、使用中に内部から発生するガスは排気口から放出されます。
  • 開放式バッテリーには6Vと12Vの両方のラインアップがあります。
  • VRLA (制御弁式)バッテリーとは異なり、水の電気分解や蒸発によりバッテリー液が減少します。
    バッテリー液量を定期的に確認し、精製水の補充が必要です。

※注意点
液量が低い状態で使用を続けると、性能が出なくなるだけではなく、バッテリー内部の劣化が進行し、寿命を縮めバッテリー爆発の原因となることがあります。

2. 型式の読み方

1) VRLA (制御弁式)オートバイ用バッテリー

VRLAオートバイ用バッテリーの場合

YTX
1
7
2
L
3
-
BS
4

記号の意味

  • 1

    VRLA高性能バッテリーを表します。
    (YTXの他にYTR、YTZ、YT形があります)

  • 2始動性能が標準のバッテリーの何Ahに相当するかを表します。
    (該当する標準バッテリーの10時間率容量[Ah]を表します。Aが付いている場合は小型化されていることを表します)
  • 3バッテリーの極性を表します。
  • 4即用式(YTX、YT、YTRの場合)タイプ

2) 高性能オートバイ用バッテリー(開放式)

高性能オートバイ用バッテリーの場合

YB
1
10
2
L
3
-
A2
4

記号の意味

  • 1

    オートバイ用高性能バッテリーを表します。
    (JIS規格ではBXと表しています)

  • 2電槽の種類(外形寸法)を表します。
  • 3バッテリーの極性を表します。
  • 4端子形状及びガス排気孔の位置を表します。

3) 標準型オートバイ用バッテリー(開放式)

標準形オートバイ用バッテリーの場合

6
1
N
2
2A
3
-
2C
4
-
4
5

記号の意味

  • 1

    電圧を表します。
    (6=6V 12=12Vのバッテリーであることを表します)

  • 2普通の形のバッテリーを表します。
  • 3電槽の種類(外形寸法)を表します。
  • 4端子形状及びガス排気孔の位置を表します。
  • 5端子形状が異なる場合の区分を表します。

3. バッテリーの選び方

新車搭載と同じタイプ(VRLA (制御弁式)か開放式か)や同等の電圧(6Vか12Vか)、容量(Ah)のバッテリーを搭載してください。

※異なるものを用いますとバッテリーの内部溶断の原因となり、バッテリー爆発の原因となります。 バッテリー購入前には、必ず、実際に車両に搭載されているバッテリー型式を確認しましょう。一般的に、バッテリーの長側面に型式が表示されています(型式が書かれたラベルが貼ってある場合もあります)。

1)容量と時間率について

容量について

バッテリーの容量は「~Ah」という単位で表し、カタログや外箱に「○○Ah」と記載されています。

時間率について

バッテリーは化学反応で電気を溜めたり出したりしていますので、電気の取り出し方によって取り出せる電気の総量が変わってきます。

具体的には、大きな電気を短時間で取り出すより、小さな電気を長時間かけて取り出す方が、より多くの電気を取り出すことができるのです。しかし、これではそのバッテリーの容量を表すことができませんので、時間率という単位で基準化して表しています。

オートバイ用バッテリーは「10時間率(10HR)」という基準で表記されています。
例えば、10時間率「10Ah」は1Aの電流を10時間流すことができる、という意味になります。
(1A×10h=10Ah)

(参考)国内自動車用バッテリーと欧州自動車用バッテリーの時間率

国内自動車用バッテリーは「5時間率(5HR)」、欧州自動車用バッテリーは「20時間率(20HR)」が採用されています。

2) 6Vバッテリーと12Vバッテリー

バッテリーの1セルの電圧は2Vです。そのセルが3つあるものは6V(2V×3)です。6つあるものは12V(2V×6)です。
オートバイ用バッテリーとしては、6V用(点灯用)と12V用(点灯・始動用)があります。

※注意点
6Vと12Vそれぞれに互換性はありませんので、必ず同じ電圧のものをお使いください。

6Vと12Vバッテリのイメージ

3) 液別タイプと充電済みタイプ

現在オートバイ用バッテリーには、電解液を注入してから使用する液別タイプと既に電解液が入って充電されている充電済タイプがあります。

液別タイプ

●お客様へ

「毒物および劇物取締法」に基づき保健衛生上、また安全上から原則として液入り状態のバッテリーにして販売しています。液別状態でのご購入については販売店にてご相談ください。

液別タイプは使用前に電解液を注入して使用するタイプです。
電解液と中の極板が反応して電気が発生し、そのまま使用を開始することができます。ただし、製造されてから年数の経ったものや、密封シールが剥がれていたものは十分な電気が発生しない場合もありますので、その際は充電をしてから使用を開始してください。
注液から使用開始までに期間があく場合は、補充電をする必要があります。

※注意点

  • 電解液は希硫酸です。衣服や皮膚に付かないようにご注意ください
  • 電解液(希硫酸)は毒物及び劇物取締法における劇物に該当するため、取り扱いに厳しい規制がございます。そのため弊社では、希硫酸の単体販売は致しておりません。購入店にて注液および充電をしてもらってください。
  • 排気口の密封シール管を取り除いてから注液してください。密封シール管をつけたまま注液すると液が飛び散る可能性があります。
シール管取り除きイメージ

充電済みタイプ

液入充電済タイプは既に電解液が入って充電されていますので、そのままご使用いただけます。 ただし、購入から使用開始までに期間があく場合は、補充電をする必要があります。

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